IMS Japan Conference 2022 に参加(2022/08/25-27、東京)

 2022年8月25- 27日、「IMS Japan Conference 2022」を、『国際技術標準の「社会実装」に向けて~教育DXとデジタルエコシステムの展開』のテーマで、オンライン開催しました。開催趣旨は以下の通りですが、2017年創設以来の日本IMS協会の地道な活動が、日本の教育DXの誕生に間に合ったという感じです。基調講演者のThe 1EdTech Consortium CEOのRob Abel博士には、デジタル庁、文部科学省にも表敬訪問をしていただきました。

「コロナ禍のなかで教育の情報化は確実に進展し、ひとり1台環境を100万人単位でしかも短期間に実現した、世界でも類を見ないGIGA スクール構想やデジタル・トランスフォーメーション(DX)人材を産学官で実現する構想など、現在日本では大規模な社会変革が行われています。こうした政策や営為を後世正しく評価するために、積極的に関心をもち参画し、そしてその記録(データや評価)を多角的に残すべきですが、同時代を生きるわれわれは当事者として、まだその意義を十分感じ取れずにいます。

 これまでの、わが国における情報化の弱みの1つがシステムのサイロ化にあったことは教育分野でも認識されるところとなり、技術標準による相互運用性(Interoperability)が図られ、教育情報システム間のデータ連携が進みました。この結果、教育や学習の改善にデータが活用されるというだけでなく、作業の自動化が進み、教職員の働き方改革や、学習のパーソナル化など新たな学びが現実のものになろうとしています。

 システム間のデータ連携が現実のものとなった今、次の目標は、AI(人工知能)と教育IoT(もののインターネット)による学習者支援・教員支援の実現です。そこでは「公正に個別に最適化された学び」(パーソナル学習)や「多様性・公正性・包摂性」(DEI)といった理念から、ひとりひとりに最適で快適な学習環境と学習過程を実現するために、機械による支援は不可欠のものとなります。そして、それをだれ一人取り残さず(Education for ALL,EFA)、持続可能な発展のための目標(Sustainable Development Goals、SDGs)もあわせて実現するには、資源の共有と再利用を前提にしたデジタルエコシステムは有効なソリューションとなるでしょう。このデジタルエコシステムを実現するのが、システムやツール、データなどの相互運用性であり、その基礎がコミュニティによって合意された技術標準というわけです。

 今年のテーマは「国際技術標準の「社会実装」に向けて~教育DXとデジタルエコシステムの展開」としました。技術標準による相互運用性を保証したデジタルエコシステムによって、個人や機関におけるシステム連携をこえて、社会実装というレベルでどのような教育データ連携が図られ、新たな付加価値サービスを実現できるか、きたるべき教育DXの未来を考えたいと思います。この先、「2025年の壁」という言葉に象徴されるレガシーシステムやベンダーロックイン・カスタマーロックインといったDXの障害も想定されていますが、LTIなどの技術標準を活用しシステムごと代替していくことでより簡単に乗り切れる可能性も出てきました。あわせて、我々を取り巻くこうした課題も整理したいと思います。

日本IMS協会理事・運営委員長  山田恒夫」

なかでも以下の企画・実施に関与しました。

1) リーダーズトーク:国際技術標準の「社会実装」に向けて(8月25日)

  白井 克彦 早稲田大学 名誉顧問(日本IMS協会 理事長)

  大久保 昇 株式会社内田洋行 代表取締役社長(日本IMS協会 副理事長)

  岸田 徹 株式会社ネットラーニングホールディングス 代表取締役議長(日本IMS協会副理事長)

  川原 洋 株式会社サイバー大学 代表取締役学長(日本IMS協会 理事)

  𡌶 弘明 株式会社デジタル・ナレッジ 代表取締役社長(日本IMS協会 理事)

  司会:山田 恒夫 放送大学 教授(日本IMS協会 理事)

2) IMS ビギナーズセッション(8月25日)

  山田 恒夫(日本IMS協会 理事)

  藤原 茂雄(日本IMS協会 事務局長)

3) 部会セッション:CASE技術標準の現状と展開(8月27日)

   1.CASE技術標準とは?(放送大学・山田恒夫)

   2.CASE技術標準と開発環境(帝京大学・宮崎誠)